2015年6月21日日曜日

中国・煙台の旅1 (グルマン世界料理本大賞)

1日目(68日) 

成田よりアシアナ航空で、韓国経由、中国山東省・煙台に向かう。
2015グルマン世界料理本大賞」の授賞式に出席するためだ。

  グルマン世界料理本大賞とは? 詳しくは以下をご参照いただくとして。

前年に出版された世界中の料理本から選考され、
カテゴリー別にそれぞれ510冊ほどがファイナリストとなり、
そこからグランプリ・準グランプリ・3位が決められる。

私が編集を手がけた『アメリカン・アペタイザー』と
SPICE CAFEのスパイス料理』(ともにアノニマ・スタジオ発行)
アメリカ料理部門と単独テーマ部門でファイナリストに残ったのだ。
開催地はパリやバルセロナ、北京など毎年異なり、
今年は中国・煙台(ヤンタイ)という聞きなれない土地である。
そこまでわざわざ行っても空振りで終わる可能性もおおいにあるのだが、
スパイスの著者、伊藤シェフが「おもしろそうだから行く」と言うので、
ならば私も、とあいなった。

アシアナ航空も、韓国の仁川空港でのトランジットも私には初めての経験。
今回の旅で、機内食を都合4回食べたのだが、いずれも有無言わさず
肉とご飯の組み合わせで、プルコギや鶏肉のスイートチリソースなど甘濃いタレ味。
熱々なのには驚いた。機内食をハフハフいいながら食べるなんて。
毎食必ずチューブ(15g)のコチュジャンが添えられているのにもびっくり。
こっそり周辺(の韓国人客)を観察すると、みなコチュジャンを全部しぼり、
ビビンバのようにぐっちゃり混ぜ込んでから食べている。
本当に、そのような食べ方が彼らの習慣なのですねえ。
しまいには別の器に入っているゆで卵サラダを肉ご飯の中に混ぜたり、
その混ぜたものをパンに挟んで食べたりしていた。
どんだけコラボ好きなのか。

仁川空港では、MERSの影響か、やはりマスクをしている人が目立つ。
今回、煙台ではおそらくお土産は買えそうにないこと、
帰りのトランジットはほとんど時間がないことなどから、とりあえず、
韓国土産のお決まり、美容フェイスシートマスクだけ購入。
まだ時間が余っていたので、搭乗口そばにあるファストフード店で、
ブリトーみたいなものとコーヒーを買って食べる。
おいおい、この2つがまた尋常じゃない熱さ。
私は決して猫舌ではなく、熱々を好むほうだが、それにしても熱すぎる。
ブリトーの中身は牛肉で、これもピリ辛の濃い味。
韓国人はよほど「ホット」なものが好きなのだなあ。


韓国から1時間ちょいで煙台空港に到着。
大気が霞んでいるのはPM2.5のせいなのか?
空港はまだ新しくピカピカだ。





グルマンの参加者には、空港からホテルへの送迎があるという事前情報があったが、
具体的にどのようになっているのかは、何も知らされていなかった。
到着口から出ると、GurmanだかGolmanだったか忘れたけど、
間違ったスペルで書かれた小さな紙切れ1(正しくはGourmand Awards)
持った中国人の若い女の子2人が立っていた。
ここで、同じ飛行機に乗っていた他の日本人参加者たちにも出会った。
てっきりマイクロバスに乗るものと思っていたが、
どうやら数台の自家用車に別れて乗るらしい。それならそれでかまわないけれど、
いったい何をもめることがあるのか、彼女とその仲間たち数人は、
なんやーかんやーと中国語ならではの激しい口調で言い合っており、
私たち日本人は放置プレイ状態。
 この若者たちはいったい何者なのだろうか?


煙台は、いかにも開発中の土地で、
そろばんを立てたような細かい目の高層マンションがあちこちに建設中。
(なのか、放置されているのか、よくわからないけれど)
足場など何も組まれていない状態で、
窓なし手すりなしのベランダの部屋のマンションが
そこらじゅうにそびえ立っているのだ。






ホテルは、グルマン事務局からおすすめの(参加者優待割引のきく)数軒の中から
事前に好みで選び、予約を入れてある。
私とシェフが宿泊したのは

烟台昆仑国际大酒店(Kunlun International Hotel)

日本人参加者でこのホテルの選んだのは私たちだけのようだ。



室内はゆったり、ベッドも広々ダブル。


窓からの風景。空気が怪しい。

ウェルカムフルーツは出前のラーメンのようにぴっちりラップ。

バスルームは浴槽とシャワー室が左右に分かれている。
石鹸が昭和のおばさんっぽい匂いで困った(石鹸は持ってきていないもんで)。
アメニティグッズもいろいろ揃っているが似たような匂いがしそうなので
をつけないことにする。
その横には、おそらく避妊具などが有料で置かれている。



部屋のドアの覗き穴が、私だと必死に背伸びしてようやく見える高さ。
中国人の体格の良さの証だろうか。


ひと休みした後、グルマンの会場へ。
室内では中国式のおもてなしパフォーマンスをやっていた。




カワイイと思わせてコワイ。

最初からコワイ。



授賞式は野外の中庭。この日はドリンク・アルコール関連本の授賞式。
私たちの本は明日なので、リハーサル感覚で一通りを見た。
夕日の逆光がとても眩しく、終わる頃にようやく日が暮れた。
途中、私の前に座っていた、がたいのいい中年の中国人女性が私にiPadを渡し、
壇上を背景に撮ってくれ、という。
撮った後、すぐに写真をチェックし、それが気に入らなかったのか、
何枚も自撮りしていた。



ドローン撮影あり。

会場背後はマンション建設ラッシュ。海が目と鼻の先。


誇らしげに踊るオープニングパフォーマンス。かなり年季の入ったお姉さま方。


主催のコアントロー氏。

壇上のスクリーンにグランプリが大きく映し出される。

授賞式後のディナータイム。
中庭から海に向かう道に延々と連なる細長いテーブルを囲み、
なぜかみんなで餃子作り。
座る席は特に決まっておらず、シェフと2人、その辺に適当に座ると、
私の向かいは、あの自撮りの女性だった。
どういう巡り合わせだろうかねえ。
(彼女は今回はノミネートはされておらず、偵察に来たらしい)

長い長い千歳飴のような状態の生地を小さくカットし、
その場で彼女たち中国人が麺棒で丸く伸ばしていく。
よく見ると、縁の部分は薄く、中心は少し厚く残すのがコツのようだ。
皮ができると「ほい」と渡されるので、
我々、海外からの訪問者たちは具を詰めて包む。
最初のうちは楽しかった。
が、薄闇の中、ぷっくりと膨らむ餃子とは裏腹に、
我が胃袋はもはや空気が完全に抜けた風船状態。
作れども作れども、この作業、いっこうに終わらない。
参加者は300人以上いると聞くが、一人5〜6個も食べれば十分のはずで、
すでにその数はとっくに超えているのだが。
まさか今宵は餃子オンリー食べ放題パーチーではあるまいな?
王将でバイトでもしているような気になってきた。
竹中直人方式で、笑いながら「いいから早くゆでてこいや」と日本語で言ってみる。
シェフもしまいには変な形の餃子を作り出した。








餃子をゆでる釜。





ゆで上がった餃子がようやく届き、かぶりつく。
意外とあっさりした味つけ、タレをつけたい(けれど、ない)。
シェフがぽそっと「なんとなく生っぽいね」と言う。
途端に私の箸が止まる。
しかし空腹には耐えられない。
何とかだましだまし食べつつ(5種の具材があったのでなるべく野菜のものにして)
紹興酒で体内消毒。

その後、徐々にいろいろな食べ物が運ばれてきたが、
どれもこれもまあ実に素朴、というより他にコメントなし。
照明がほとんど当たっておらず、暗闇に提供されたせいもあったかもしれないが。


アンドーナツのようなもの。かなりオイリー。
手羽先の醤油煮。
たぶん干し豆腐の一種。これが一番マシだったかな私には。

おそらくサンザシのゼリー。

饅頭(まんとう)の一種。目のツマリが半端なく、ひとくちで口の中の水分すべて持って行かれる。

涼粉の一種だろうか、わらびもちのような食感、からし醤油。
美味しそうに見えたが、なぜだろうか、そうでもない。

ゆでた羊肉。さほど臭みはないが味も特についていない感じ。

煙台はスイカとチェリーの産地。スイカはちょっとえぐみがあった。


となりの席に座っていたのは、若い中国人女性。
私よりももっと英語ができない子なのだが、一生懸命こちらに話しかけてくる。
どうやら、幼い子がいて、銀行にパートで勤めているらしい。
(どうして銀行員のあなたがこのグルマンにいるのか?と聞いても伝わらない) 
なぜか私のことがとても気に入ったらしい。
“You are more beautiful than him”と言い、シェフと私を交互に指差している。
どうなんだろうかその比較は、喜んでいいのか。
「珍しいねえ、10年分の褒め言葉もらったじゃん」とシェフが笑う。
ちょっと、妬いてるんすか?  それはそれでひどくないですか?
私とツーショットを撮った(彼女がケータイをシェフに渡して撮らせた)後、
「あなたの魅力はこういうことだ」と、
彼女はケータイ辞書で何か言葉を引いて、私に見せてくれた。
記念にそれを撮っておいた(よくわかんないけど)。
せっかくの10年分の褒め言葉ですからね。






ホテルに戻る。





部屋のWiFi、これが今回の旅で一番の厄介者だった。
テーブルに置かれた説明書きには、
「調子が悪い時は(ルーターを)いったん抜いて、5秒経ったら再び差し込め」
と真面目に書かれている。
この旅の間、いったい何回、私はこの抜き差し作業をしただろうか。
5秒いや10秒にしてみよう、とか、10分以上使わないようにしよう、
君は夜が得意?それとも朝派かい?など、
できうる限りの創意工夫を凝らしたものの、
果たしてそんなことに意味はあっただろうか。
調子がいい時でも、できるのはメールのみで(gmailはイマイチ)、
インターネットを見たりすることはできなかった。
ラインは調子いい時と全然ダメな時があり。
あとから知ったが、中国はどうもgmailが使えないらしいですね。
(つづく)

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