2013年9月14日土曜日

エルサレム旅日記1

9月2日(月)

飛行機はトルコ航空でイスタンブール経由。
航空会社のサイト(英語のみ)で直接ネット予約する際、
食事のタイプを選ぶ項目があり、
ベジタリアンとかローカロリー、ローファット、
コシェル(ユダヤ教の規律に基づく食事)、ムスリム(イスラム教)など
20種近くもある。はーすごい。
しかしレギュラータイプがその中にない。
郷に入れば郷に従えかあ〜と、
ベジタリアンオリエンタルとかいうのが一番感覚的に近いんだろうか?
よくわからんけども、それをチョイス。
チェックインの際、こちらでよろしいんですか?と確認される。
レギュラーでいいなら、どうやら選ばなければよかったようだ。
だって、必要ならば選べ的な言葉が見当たらなかったんだもん。
ならば、と普通のタイプに変えてもらう。
が、あえて試してみるのもおもしろかったかもしれないか?とちょっぴり後悔。

機内は空いていた。私は壁前の席の左通路側をとっていたのだが、
となり2席は空きのまま、通路をはさんで左の窓側3席も誰もいない、
右窓側は若い日本人の男が一人。
シリア問題などでそっち方面に今時分行く人はやはりさすがに少ないか。




旅の前、周囲からかなり心配された。
親にはあまり早く知らせてはマズイと思い、1週間前に「全然大丈夫だからね」と
さらっと伝えた。
その直後にオバマのやるぞ発言である。
新聞を開いたら「エルサレムでガスマスク配布に群がる人」が出ている。
あかん、これはあかん。
私自身がというよりも、周囲の人たちの心情に対して、であるが。
案の定、父親からはFAXで私の身を案ずる手紙が来てしまった。
やるかも、の時がちょうど旅の始まりに重なっていた。
ガスマスクって出ているけど?と今回の旅の頼みの綱である現地駐在の記者氏に
メールしたら、
「ガスマスクなら僕のところにもあります」との返事。
ああそっか、そっか、それなら安心だね!! 
って、そういうことじゃないよ〜。


航空会社に事前に問い合わせたところ、
何か問題があれば欠航するとのことだったので、運に身を任せることにした。
そして、出発直前、再びの表明によりアメリカからはしばらくはやらない、
9日から審議を開始するということがわかった。
飛行機はあくまでトルコ行きであり、
空いている=シリア問題というわけでもないのかもしれないし(と思いたいし)、
すいません、私ちょっと降ろさせてもらいますってわけにもいかない。
空いていてラッキー、リラックスできるわ〜と能天気でいくことにした。

ヨーロッパへ行く時は、時差ボケ防止のため、
私はできるかぎり寝ないように、現地に関する本を何冊も持ち込むのが常だ。
イスタンブールまでは約12時間、3時間のトランジットを経て、
イスラエルまで約2時間、着くのは23時20分なので今回も同様の作戦をとることに。
少し違う点は、ヨーロッパならば、行きたい店や買いたいものをマークといった
女子っぽいガイド本学習が主になるが、今回の場合はそれよりも
歴史、宗教、現代社会とマジなお勉強であること。
片道フライトでは足りないくらいだ。

3席の真ん中に座り直し、本来の席はサイドデスクとして使用。
右の若い男は肘掛けをしまってフルフラットシート状でずっと寝ている。
「チミ、そんなに寝てばかりいたら、トルコに着いてから夜寝られなくなるよ」と
老婆心から言ってあげたい気もしたが、まだ老婆ではないのでやめておく。

例の普通食は、機内食にしては悪くない味だった。
エコノミーでも歯ブラシにリップクリームなどの入ったポーチや
簡易スリッパまで提供され、なかなか気が利いているではないか。
しかしオール外国人のCAの対応はざっくり粗い。
まあここに限った話ではないし、日本の航空会社のかしずくような態度も
それはそれでどうなんだといつも思うので、
だからそれぞれの中間くらいの対応ならばいいのになあ。

また、これもトルコ航空に限らないことだが、
飛行機は離陸してからしばらくは室温が低い。
何か理由があるのだろうが、今回は特にそれが強烈で、しかも長時間続いた。
3席分、3枚のブランケットを使い、ムスリムの女性みたいな格好になって、
それでもまだ寒かった。
(私だけではなく、他の乗客も寒そうにしていた)
着陸時になると機内はやや暑くなり、それでわが身はようやく解凍された。

乗り継ぎの飛行機の乗客の大半は地元に帰る人たちのようだった。
小さい飛行機なので今度は8割方埋まっている。
あれ!! さっきの眠り青年もいるではないか。
この人、一人でイスラエルに何しに行くのだ?
(ってむこうも当然、私のことをそう思っているはずだよな)
それから30歳前後の日本人カップルがいる。
新婚旅行か? マニアックなチョイスだが、とても旅慣れている雰囲気には見えない。

この飛行機でもまた機内食が出た。
CAは、一席ずつ、やれこっちはコシェルだ、
こっちはベジタリアンいや違うなどとこんがらがっている様子。
私のとなりは若い外国人カップルで、
男は「僕はコシェルにしたんだけど、やっぱり今日は普通のタイプにトライしてみる」
などと言い出しているし。
そんな気分次第で規律を変えちゃっていいのかね?

通路を挟んでとなり側、前の席の男がいきなり背もたれを思いっきり倒した。
後ろの席のテーブルの飲み物がジャバーッと豪快にこぼれ、座っていた男にかかった。
その男は席の隙間から前の男をちょんちょんとつつき、事情を説明している。
それでも前の男は振り向くことなく、席も元に戻さず、
おそらく一言も謝りもせず、何か長い言い訳を言っている。
外国人は決して謝らないとよく言うが、ほんとに謝らないねえ。
後ろの男はキレてもおかしくないのに、なぜかそれ以上追求しなかった。
私のとなりのカップルの彼女が気を利かせて紙ナプキンをパスしてきたので、
私から男に渡したが、ありがとうの言葉はなかった。
謝らない男にお礼を言わない男、どっちもどっちか。

行きの飛行機は一睡もしない、が信条のはずの私だが、
ドドンと機体がテルアビブの空港に着陸する振動でハッとする。
しばらく睡眠学習していたらしい。
無事着陸を祝ってなのか、機内のあちこちで拍手が起きている。
昔の日本もこうだったらしいね。

イスラエルの出入国審査は厳しいとの噂で、
ガイド本には(特に出国は)ものすごくねちっこく調べられると書いてある。
しかし記者氏いわく、最近はそこまでではないとのこと。
そこそこ覚悟しつつも、とりあえず入国審査はまあ大丈夫だろう。
「何しに来たか」「何日か」「フライトスケジュールを見せよ」
ここまでは想定内だ。
早く済ませられるよう「はいはい、なんならホテル名と住所もここにありまっせ」と
いい子になる私。
しかし、コワイ顔したデミ・ムーア風の担当者は、まだ質問を続ける。
「観光なのに何で一人なのか」みたいなことを聞くので
(それって余計なお世話だよ、と言いたいけど言えない)
「こっちに住んでいる友人がいるので」と答えたら、
「その人はどんな仕事か」
 私「ジャーナリストです」
 「ビザの種類は?」
 私「知りません」
「その人をどう思う?どんな人間?」
ええ? そんなこと聞かれてもねえ、どう答えたものか、
日本語でだって難しいじゃないか。
いい人です、ってのもおかしい気がするし。
まあ普通です、みたいに答えたら、
おもしろくない回答と思われたのか、解放された。

ホテルに到着した時にはすでに深夜1時過ぎ。
なんと、さっきの日本人カップルも同じホテルだ
(私は航空券とホテル、ネットでバラバラに取っているのでツアーではない)
フロントに「トゥギャザーか?」と言われてしまう。

ホテルと記者氏の住まいは目と鼻の先。
久しぶりの再会、明日からのスケジュールを軽く打ち合わせてバイバイ。
今夜はシャワーだけにして早く寝よう。

と、コックをひねるが、み、水しか出ねえよ・・・。
左と右、どっちがお湯なのかわからないタイプで、
たいていは左がお湯の気がするのだが、
左にひねるとすごく冷たい水、右にひねると少しだけぬるい水、
なのだ。お湯になるのに時間がかかるのだなと思い、
しばらく右にひねって出し続けたが、まったく温度変化しない。
まさか暑い国イスラエルではこの温度をお湯と呼ぶのかな?
今さら服を着直してホテルの人にたずねるのも面倒だし、
こんな深夜で直せるとも思えない、直せたとしてもますます睡眠時間が減る、
というわけで水シャワーに耐える。
冷凍、解凍、そして再冷凍。
聖地入りのための、ある種の禊ぎか。

ベッドに入ったのは3時は過ぎ。
睡眠学習の影響なく、即眠りに落ちる。


1 件のコメント:

  1. ムシャりん2013年9月15日 21:46

    ■トルコ航空、アメニティ?いいよねー。15年も前だけど未だトルコ航空の巾着使ってます。■聖地入りの水シャワーの禊、おもしろいねー。さすがだね、なべさま。■イスラエルの人は、クールだよねー。日本人が一番愛想がいいよ。最近、特に宗教的なほどの笑顔をするよね。今日もラスク屋で店員がすごい笑顔してて怖くなったとこ。

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