2013年5月18日土曜日

キャドバリーBourn VitaのSweet Dreams

ナイトキャップを被ってベッドに入るヨーロッパの男性、
というお決まりの昔の絵面がある。
なんで寝る時に被るのか。
防寒、シラミ予防、整髪剤による枕汚れ&寝グセの防止、
自宅でカツラを取った後の短髪隠しとか
いろいろな理由があるんだとか。
何となく不思議な感じがするが、あのデザインがまた気になる。
折れるくらいに長く先細りの形と先端のボンボン、
どうしておっさんがカワイぶっているのだろうか。


そのマグカップを目にしたのは、ずいぶん前、
海外の雑誌あるいは日本のインテリア雑誌だったか。
スヤスヤとした眠り顔が側面に描かれ、
ナイトキャップの形をしたフタが被せられている、ユニークなものだった。
なぜかそれが頭の片隅に残っており、最近になってふと思い出した。
あれはどこの製品なのか、入手することはできないか。

ネット検索してみる。手がかりは何もない、
ただ脳裏にうっすら浮かぶデザインだけが頼り。
そのため、すぐにはヒットしなかったが、
「眠り顔 マグカップ ナイトキャップ」 
などとキーワードをいくつか組み合わせて打つうちに、
私が以前見たそのカップに行き当たることができたのだ。
こういう時、ネットの時代は便利だなあと思う。
20年前だったら、どうしていたのだろう。
おそらくまわりの人に
「こんな感じのカップ知らない?なんかこう顔がついていて帽子被って・・・」
「知らないなあ」
「じゃ、絵を描くとこんな感じなんだけど」
頭の中でイメージしていてもいざ絵に描いてみると
案外、エスチャーで見せたずうとるびの江藤クオリティになってしまうものだ。
   



それではますます遠のき、巡り会うことはなかっただろう。
まあ、昭和の時代だと、最初から探せると思っていないだろうから、
今見つからなかった場合に感じるほどの悔しさもなかったかもしれないけど。

私が気になっていたカップというのは、
イギリスのチョコレートメーカー「キャドバリー」が
Bourn Vitaというチョコレート風味ドリンクのノベルティグッズとして
1960年代に製造した、プラスチック製だった。その名もSweet Dreams.


就寝前に飲まれていたということで、
なるほどだからナイトキャップのフタを被ったデザインなのね。
就寝前と言えば、ヨーロッパのホテルでは、夜のベッドメイクが入ると
チョコレートが置いてあることがよくある。
しかし、私たち日本人の感覚では、寝際にチョコレートを食べて
そのまま歯を磨かずに寝るってかなり勇気がいるのではないか。
近年の調査で、カカオには虫歯を予防する効果があると言われるようになり、
そうした習慣はあながち間違っていなかったのかもしれないが、
カカオの成分は良くても、砂糖がいっぱい入っているお菓子では
どうなんだ~? とは思うが。

このマグカップ、とても希少で、なかなか手に入らないという。
ネット販売されているものはたいていSOLD OUTとなっており、
ごく稀にあっても、目立つ破損があったり、フタがなかったり。
完璧な状態だと相当高価らしい。
世の中、どんなジャンル、どんな製品にも、
マニアというものが存在することに驚く。
ザンネンだなあ、でもやっぱり欲しいなあ。

引き続きネットを眺めていたら。また新たなことがわかった。
Sweet Dreamsカップ、1960年代からはプラスチック製だが、
それ以前、40年代50年代は陶器製(フタはないタイプ)だったという。
年代が古いのでこちらもなかなか入手できない。

しかーし!!  見つかったのだ。
イギリスのスージークーパーや銀器などのアンティークを扱うサイトの中で
あきらかに1個だけタイプが異なり浮いている、眠り顔のへんてこなカップが。
私が一番求めているキャップつきのプラスチック製ではなく陶器製ではあるが。
メールで問い合わせると、耳にあたる持ち手部分に、わずかにキズがある、
それが気になるかどうか、もし良かったら実際に見に来て確かめてみては、とのこと。
偶然にもその店は、私の家から数駅隣だったのだ。
海外のサイトまで見ていたのに、そんな近所にあるとは。

行ってみたら、店ではなく個人の家だった。
バス便の郊外にある高級住宅街の一画、
自宅の部屋にずらっとコレクションが並んでいる。
趣味が高じ、プロとしてのアンティーク買いつけの修業を積んだという、
私の母親よりは少し若いくらいの女性。
まあゆっくりお茶でも、とアフタヌーンティーをごちそうになる。
キャドバリーのカップは、ずいぶん前にたまたまイギリスで買ったという。
確かに普段彼女が買いつけるものとは毛色が違うが、何となく気になったそうで。

元々はナイトキャップつきを探していたことを告げると
「ああ、そっちもあるわよ。ひょっとしてと思って両方出しておきました」
さらりとすごいことを言う。
オーマイガッ。りありぃ~? 
なんということだ。希少なものが2つとも揃っているなんて!! 
しかも、プラスチックのほうはほぼ無傷な状態。
陶器も、耳のキズはほとんど気にならない程度。
これぞ一期一会、買うしかないでしょうよ。
価格もネットで調べていた相場からして、ちょい安いくらいなので良心的、
かつ、2つ購入で少し値引きいただいた。
ありがたき幸せ。



ところで、イギリス&スイートドリームスと言えば、
ユーリズミックスの歌を思い出す。
なつかしい。好きだった。いい夢を見られそうにはない歌だが。



マグカップの顔も、他の人から見れば可愛いというよりキモイかもしれない。
まあそういうへんてこなものが好きなんだろう、私は。
棚に飾り、ときどき眺めては一人ほほえんでいる。


2 件のコメント:

  1. いいですねー、このマグ
    探せば世界中いろんな道が開けてますね
    欧州は比較的そういう余地が残されてる気がします
    こういうことを大事にしていきたいし、こういうことを大事にする人と楽しく生活していきたいですね

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    1. お小遣いで買える範囲で、ちょこちょこと入手して楽しんでいます。

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